もし、お子様が、学校を渋り始めた、学校が嫌だと言っている、…など、言い始めたら…。
学校以外の場所にも、視野目を広げてみる親御さんは少なくないのではないでしょうか。学校から一番はじめに勧められるであろう場所がこの「適応指導教室」です。地域によっては「教育支援センター」と呼びます。
今回は、この「適応指導教室」について、文部科学省の資料を参考にして簡単に詳しくみていきます。
適応指導教室とは?
適応指導教室は、教育支援センターとも呼びます。
市町村や都道府県の教育委員会等によって設置された場所です。都道府県の設置数は、約2%と低く、市町村による設置がほとんどを占めています。
公的機関になります。
約60%の自治体が設置しており、設置指定理由として、予算や場所の確保の問題があるようです。今後設置予定、設置の検討の自治体約40%あります。(「教育支援センター(適応指導教室)に関する実態調査」結果令和元年5月13日文部科学省より)
「教育支援センター(適応指導教室)」(以下、教育支援センターとする。)とは、不登校児童生徒等に対する指導を行うために教育委員会及び首長部局(以下「教育委員会等」という。)が、教育センター等学校以外の場所や学校の余裕教室等において、学校生活への復帰を支援するため、児童生徒の在籍校と連携をとりつつ、個別カウンセリング、集団での指導、教科指導等を組織的、計画的に行う組織として設置したもの。 「教育支援センター(適応指導教室)に関する実態調査」結果令和元年5月13日文部科学省より
順番に簡単にみていきましょう。
どこにあるのか
教育委員会等が、学校以外の場所、学校の余裕教室に設置したものになります。教育委員会は、市ごとに置かれているため、その市によって場所が異なることが分かります。
また、適応指導教室ではなく、独自の名前が付けられていることが多いです。お住まいの適応指導教室はどこにあるのか調べてみましょう。住所、連絡先のリストがある場所が多くみられます。
例として、愛知県の適応指導教室の一覧表を添付します。
愛知県内の適応指導教室一覧表(2022年9月2日更新) https://www.pref.aichi.jp/soshiki/gimukyoiku/ibasyo.html
何のためにあるのか
上記の文部科学省の資料からは、「学校生活への復帰を支援するため」と分かります。
しかし、令和元年10月25日、更に「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」が通知され、大きく目的が変わりました。
1 不登校児童生徒への支援に対する基本的な考え方として、4項目記されています。(1)支援の視点 (2)学校教育の意義・役割 (3)不登校の理由に応じた働き掛けや関わりの重要性 (4)家庭への支援 です。
その1つを見ていくと、
(1)支援の視点
不登校児童生徒への支援は,「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではなく,児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて,社会的に自立することを目指す必要があること。また,児童生徒によっては,不登校の時期が休養や自分を見つめ直す等の積極的な意味を持つことがある一方で,学業の遅れや進路選択上の不利益や社会的自立へのリスクが存在することに留意すること。 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」よりhttps://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1422155.htm
「学校に登校する」結果を目標にするのではなく、子どもが主体的に捉え、社会的な自立を目指す と大きく変わりました。学校に登校することがゴールではないということ。
適応指導教室の役割は大きく変化し、個に応じて利用できる場所になりました。しかし、現実は、勤務されている先生方や教育委員会の方針によりますので、しっかりと確かめる必要性があります。
スケジュール
適応指導教室の1日の流れはどのようになっているのでしょうか。
教育支援センターは、終日で活動している施設がほとんどです。しかし、午前のみ、午後のみで活動している教室もあります。曜日によって時間帯が違うこともあります。このように、自治体によって異なるため、ホームページなどで確認が必要です。
刈谷市にある適応指導教室を例にあげてみます。
- 月〜金 9:00から16:00(月のみ14:00まで)
- スケジュールは、基本的に決まっているが、子どもに合わせて調整し、本人が過ごしやすいように過ごすことができます。
- 昼食の時間のみ12:00〜13:00とほぼ決定
活動内容
適応指導教室では、何をしているのでしょうか。
主な活動として、学習支援、電話相談、来室相談(カウンセリング等)がです。ほとんどの施設が個別の学習支援を行っており、授業形式の学習支援を実施しているのは30%に満たしません。また、相談・カウンセリングは約90%、家庭への訪問は約36%が実施しています。「教育支援センター(適応指導教室)に関する実態調査」結果令和元年5月13日文部科学省より)
また、学習カリキュラムを決めている施設は約44%。約94%の施設が教科書を使用し、次いで市販(子供持参)の教材が多く使われています(約83%)。「教育支援センター(適応指導教室)に関する実態調査」結果令和元年5月13日文部科学省より)
例として、実際に通わせていただいた刈谷市南部適応指導教室を紹介します。
活動時間
本人がどのように過ごしたいのかを指導員の先生方が関わりながら決めていきます。我が子の場合、「やりたい問題集を一人で自分のペースで学習したい」という気持ちを尊重していただきました。分からない問題は、聞くこともでき個別指導もしてくださいました。また、休憩時間は自分で設定し、漫画や本を読んだり、卓球をしたりして過ごすことができました。
カウンセリングも行っています。いつでも都合の良い時間帯に来室してお話を聞いてくださいました。また月に1度親の会が設定されており、指導員の先生やカウンセラーと話ができる時間を設定していました。
出欠席について
文部科学省では、不登校への対応について6つの項目が挙げられています。
ここでは、6つ目「不登校児童生徒に対する柔軟な対応」の(6)出席扱いについての措置を優しく掘り下げます。
①不登校児童生徒が教育支援センター(適応指導教室)や民間施設など学校外の機関で指導等を受ける場合について,一定要件を満たすときに小・中学校等の校長は指導要録上出席扱いとすることができる。(文部科学省 小中高に関すること 生徒指導等 不登校への対応についてhttps://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/04121502/018.htm)
②不登校児童生徒が自宅においてIT等を活用して行った学習活動について,訪問による対面指導が適切に行われていることなどの一定の要件を満たす場合,小・中学校等において指導要録上出席扱いとすることができる。(文部科学省 小中高に関すること 生徒指導等 不登校への対応についてhttps://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/04121502/018.htm)
一定の条件を満たす場合に「出席扱い」になります。
適応指導教室の場合、適応指導教室に来ることができたら、出席扱いになります。どのように過ごしたのかは問われません。
指導要録上とありますが、指導要録とは、教師が書く児童生徒のカルテのようなもので、「指導の記録」と「学籍の記録」に分けて記載します。「評定」などを多くの項目を記載しますが、出欠席は、出欠の記録として記載されます。進学の際、写しを進学先に送付することになっています。
指導員の先生
資格を有する職員の約82%が教員免許所持者になっています。スクールカウンセラー(SC)やソーシャルワーカー(SSW)が定期的に配置されている施設は、SCで約29%、SSWで約19%です。
刈谷市南部適応指導教室の場合、教員退職者が3名。男2名、女1名の指導員の先生方がいます。
それぞれの自治体によって、どのような指導員が在籍しているのかは異なりますが、退職された教員の先生が指導員隣られていることは多いようです。
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